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Exhibition sales of Contemporary ART


updated 2023-05-09
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田村研一展 画業(がごう)TAMURA Ken-ichi Exhibition

10月20日(火) - 25日(日)


誰に教わったわけでなく
意思でもなく
毎日自動的に描くことに追われてます。


良い絵だの悪い絵だのはもうどうでもいいのです。


遠く遡れない因果で決められた軌道を一途行くだけなのです。


田村研一



















プラスチックファンタジー 500号



述懐


油絵を初めて手にしたのは31 年前でした。
水彩で嫌われる濁りが油彩では魅力になる事への驚きや思った質も光を再現できる絵の具に驚きました。
全てを自ら決めて究めていく芸術の世界に魅かれていました。東京藝大を目指すも親に反対され地元京都の美術大学である精華大学で教職に就くという条件で入学しました。
18 歳のころ学校で感じたことは現代美術も面白いけれども閉ざされた日本のさらに閉ざされた京都という辺鄙な土地では現代美術よりも古典的な様式で時間をかけ取り組む方が語学力も情報収集能力もない私には合ってるということでした。
画塾の講師をしながら技法書片手に先達の話などを参考にしつつ勉強の日々でした。あっという間に10 年が過ぎてました。
大半の若い画家と同じように究極の技法で描かれた完璧な絵を目指しました。
その頃日本に来たウィーン幻想派もマドリッドの写実画家たちはすでに夢見た技巧の結晶を実現していました。
幻想派ではハウズナー、レームデン、版画のヴァンダーリッヒ。マドリッドリアリズムではナランホ、フランケロが特に素晴らしく展覧会に何度も足を運びました。そして丸善で偶然手にしたパリの分厚い画廊カタログの作品群、さほど上手くない画家でも
ヴァルールを掌っていて感嘆しました。芸術を敬うヨーロッパに憧れて早くこの国から逃げようと考えるようになりました。
語学教室に通いだしたもののまだ受験人口も多く画塾が忙しくなり家族も立て続けに病気になり長男としての役割を担わされました。
封建的な価値観のなかヨーロッパへ遊学は諦めざるをえませんでした。
自暴自棄にもなりかけましたがしからばと半径10 キロの行動範囲で出来ることを捜しました。想像力や数多の記憶を辿り知り得る上等な技法で描こうと開き直ったのです。想像の翼は巨大です。1 万キロ向こうの国も近く感じました。
自分しか出来ないことしてやろうと、形作るものを掘り下げたとき幼少のころ目指したマンガ家、アニメや思いを馳せたプラモデルのボックスアートの手法を作品に取り入れる事にしたのです。
現代美術で当時流行していたセル画を模したフラットな色面でなく油絵ならではの濁りや風合いを持ち込こもうと画策しました。
メカやパースを駆使して150 号を描きましたが余りにも唐突だったのか先輩画家たちの反応は今ひとつでしたが有り難いことに京都市美術館から収蔵したいという申し出があり手応えを感じました。それが10 年以上前、30 歳半ばでした。

友だち

テーマについて


どの時代にも人間は普遍的にあるイメージを共有しているように思えます。天災による悲運をテーマにすれば最も身近に起こった災害を連想します。それぞれが縋る崇高なものを守るため異なる正義の相違が戦争になります。そんな趨勢の轍に名もなき人々は轢かれていきます。100 年以上前のフリードリヒの氷海をみたときもジョンマーチンをみたときも既視感を感ずるように人の本質はなんにも変らないことに気付かされ、そしてレンブラントのヘンドリッケェへの愛情をを350 年後に追想することができます。
アナログな絵画はどんな再生装置も必要とせず個人的なドラマを色褪せず時代を超越して直接伝える絵画芸術の素晴らしさを再認識していた頃に結婚をして命を授かりました。こんな画家崩れの親の元に生まれた子が哀しく愛おしく余りに未熟な自分が親になるのは滑稽でもありました。
日々の奇跡を形にできるのなら絵画が命を賭すに値するものと確信しました。数年後その子供も絵に登場させてみました。
近所で噂のヤブ歯医者によって錆びた巨大抜歯機で虫歯を抜かれる子役で、、何年後かに奇妙な愛情を追想してもらえたらいいのですが、、



文鳥と石榴

アイデアと技法について


アイデアはあちこち落ちてて
例えば近所に建った家が顔に見えるとか
病院の長時間待たされてる待合室の患者は元気だとか
インターネットを過信し他人を叩く恐怖とか
思った事を素描というかアイデアスケッチを沢山します。
メカなどはオートマチックに描いてしまうのですが部品の集合でフォルムが出来るのが面白いのと
果たされることのない夢での約束みたいで面白いです。ここは感覚的なところです。
とくに真似てるわけでないのですが矛盾とか不条理とかを抱えたシュールレアリストがしたようにコラージュやデフォルメをします。
ただそれはiPad やスマートフォンのアプリでやります。
キャンバスや板に和紙張りし炭酸カルシウムの吸収下地に墨汁やテンペラなどで下絵を転写して部分から描き油彩に切り替えていきます。
テンペラと油彩を使いますがほぼ油彩です。
コーパルやベネチアテレピン、かなり粘度のあるものを絵具に練りこんで使います。
時間をかけ重層的に仕上げていきます。

待ち惚け姫

個展 画業について


京都で13 年ぶりの個展です。
得意とするSF 的大作3 年前に発表した500 号のプラスチックファンタジーと抒情的な大正ロマンをテーマにした小品静物画肖像画などに挑戦しました。30 点です。

妄想楽団

美術館の新制作で同時発表中の500 号を超える渾身の大作妄想楽団とあわせてぜひ御高覧ください。
「新制作」京都展 10月20日〜29日 京都市美術館 http://www.shinseisaku.net/wp/


田村研一


田村 研一


1969 京都府に生まれる
1991 京都精華大学美術学部卒業


1992 京展          京都市美術館
1993 個展          京都 ギャラリー中井
1993 京展          京都市美術館
1994 新制作展 初入選    東京都美術館 京都市美術館
1994 京展          京都市美術館
1995 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
1995 時のかたち展      横浜市民ギャラリー
1996 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
1996 個展          京都 ギャラリー中井
1996 関西新制作 新作家賞  大阪市立美術館
1996 時のかたち展      横浜市民ギャラリー
1997 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
1997 時のかたち展      横浜市民ギャラリー
1998 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
1999 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2000 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2001 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2001 個展          京都 ギャラリー中井 
2002 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2003 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2004 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2005 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2005 京展          京都市美術館賞 京都市美術館
2006 新制作展        東京都美術館 京都市美術館
2006 8 人展         大丸東京店
2006 グループ展       大阪 ベルンアート
2007 新制作展        東京 国立新美術館 京都市美術館
2008 新制作展 新作家賞   東京 国立新美術館 京都市美術館
2008 グループ展       大阪 ベルンアート
2009 新制作展 新作家賞   東京 国立新美術館 京都市美術館
2010 新制作協会 会員推挙  東京 国立新美術館 京都市美術館
2011 新制作展        東京 国立新美術館 京都市美術館
2011 グループ展       大阪 ベルンアート
2011 京展 京展賞      京都市美術館
2012 新制作展        東京 国立新美術館 京都市美術館
2012 個展          銀座 光画廊
2012 グループ展       大阪 ベルンアート
2013 新制作展 三部合同展示 東京 国立新美術館 京都市美術館
2013 グループ展       大阪 ベルンアート
2014 新制作展        東京 国立新美術館 京都市美術館
2014 個展          JR 大阪三越伊勢丹
2014 公募団体ベストセレクション展 東京都美術館
2014 日本橋三越本店特選会特集 日本橋三越本店
2014 新制作京都絵画部会員展 京都 ギャラリーヒルゲート
2014 グループ展       大阪 ベルンアート
2015 新制作展        東京 国立新美術館 京都市美術館
2015 横浜大世界アートリック 神奈川 中華街 横浜大世界
2015 グループ展       京都 ギャラリーヒルゲート
2015 グループ展       大阪 ベルンアート


収蔵先 京都市美術館
    京都大学・大阪大学・立命館大学


現在   新制作協会会員